論文

"Extensionality and Restriction in Naive Set Theory" (Zach Weber)

最近、論文はつまみ食いばかりで一本丸々読みきる時間がなく、ご無沙汰しておりました。徐々にまた紹介記事を書いていきたいと思います。 Studia Logica誌の online first 論文、こちらから入手可能。数学的に興味深いというよりは、矛盾許容論理上で包括原…

"The Idea of a Proof-Theoretic Semantics and the Meaning of the Logical Operations" (Heinrich Wansing)

Studia Logica (2000) 64(1): 3-20。こちらから入手可能。証明論的意味論に関するよくまとまったサーベイ。 (内容は後で追加します)

"pluralism in logic" (Hartly Field)

The Review of Symbolic Logic (2009), 2:342-359。こちらから入手可能。重要な論文なんだと思います。もう一回読み直さないと。 著者は、非古典論理に関する論理的複数主義*1を検討し、DummettやBeal-Restallらの複数主義を拒否します。そして論理に関する…

"truth values and proof theory" (Greg Restall)

Studia Logicaに掲載予定、著者のweb siteから取得可能。 推論主義の立場から「真理値とは何か」を説明しています。要約すると以下の通りです。 "Mutiple conclusion"論文に倣って、ある文の「否定を主張 (negate)」することと、それを「却下する (reject)」…

「論理は真理を保存するか」(秋葉研介)

「科学哲学」27(1994)pp.69-82. 某氏の日記経由、web上で取得可能(いい時代になったものです)。 本論文では、推論主義の見地から論理的推論にアプローチする。すなわち、「良き論理とは演繹的保存拡大の条件を満たす論理であり、良き推論とはそのような論…

"Multiple conclusion" (Greg Restall)

Logic, Methodology and Philosophy of Science: Proceedings of the Twelfth International Congress, pp.189-205. 原稿は著者のページから取得可能。この論文、読み終わったのは帰国する飛行機の中だったんですが、感想を書くヒマがなかったもので。 「証…

"Comprehension contradicts to the induction within Łukasiewicz predicate logic"

二年前の7月に中国で発表した論文*1が、紆余曲折の挙げ句、やっと「数理論理学記録保管所」誌に掲載されることとなりました。オンラインではこちらからアクセス可能です。要旨は以下の通り。 We introduce the simpler and shorter proof of Hajek’s theorem…

"The strength of extensionality I ― weak weak set theories with infinity" (佐藤憲太郎)

Annals of Pure and Applied Logicのオンライン出版*1、こちらから入手可能。 この論文は、集合論 ZF に関する証明論的分析として、非常に重要なものであると考えます。ZFの上で数学を展開することにではなく、ZFがベースとする集合概念(およびZFと言う体系…

"Forcing in proof theory" (Jeremy Avigad)

yoriyukiさん経由、論文はこちら。 minimal logic (直観主義マイナス矛盾律)や直観主義のクリプキモデルと、古典論理上ZFCの強制法の関係について、今までよく分からなかったのだが、少しだけ分かったような気がします。 古典論理の論理式 を二重否定翻訳(…

"Weak theories and essential incompleteness" (Vitezslav Svejdar)

The Logica Yearbook 2007, pp.213-224. 著者のwebsiteはこちら。ゲーデルの不完全性定理は魔力を持つようで、先日の一件のように、誰もが(深く考えもせずに)何か気の利いたことを言いたがります。ご多分に漏れず、当Blogでも、不完全性定理について、エラ…

"There are non-circular paradoxes (but Yablo's isn't one of them!)" (Roy T. Cook)

The Monist, vol.89, no.1, pp.118-149 (2006). 古典論理で矛盾を導くパラドックスの典型例と言えば、嘘つきのパラドックスでしょう。このパラドックスでは「文L = 『Lはウソである』」というように、循環性によって矛盾を導きます。この印象があまりに強い…

"Combinators and classes" (Dana Scott)

Lecture Notes in Computer Science Vol. 37(1975) pp.1-26. こちらから入手可能。 λ計算は、Y-combinatorなどのせいで、古典論理上で単純に形式化しようとすると矛盾を導くことが知られている。また、λ項は包括原理と性質が似ている。この論文では、包括原…

"What's wrong with Tonk(?)" (Roy T. Cook)

JPL (2005)34:217-226。 論理結合子Tonkを許す関係論理 Tonk-logic" の論理的帰結関係は決して ad hoc ではない、 結合子Tonkを許すべきかという問うことは、"Tonk-logic" を論理として認めるべきかどうかと問うことである、 と主張。(後で追加します)

"What's wrong with Tonk(?)" (Roy T. Cook)

JPL (2005)34:217-226, こちらから入手可能。 本日話題になった論文。有名なBelnapの "Tonk" は、以下のようなものです。二座の論理結合子 Tonk は、 導入:任意の B について、Aから が導入可能 除去:から B が導出可能 Tonkは、ダメットの論理結合子の導…

"Truth and Proof: The Platonism of Mathematics" (W.W. Tait)

以前 Ak 君から薦められた論文。長らくツンドク状態だったが、今度の国際会議の要旨の書き直しに参考になるかと思い、読み始めてみた。いや、非常に面白い論文で、もっと早く読むべきだったと反省しています。唯一の問題は、国際会議の発表の参考にはまった…

英語論文についての恥ずかしい話

あまり、自分の恥になる話を書くべきではないのだが。 私は、一応英語で論文を複数書いていて、なにをかどう書くべきか、ある程度は把握しているつもりだった。しかし、本日、先月末に書いた論文の草稿の一部について Tさんにご意見を伺ったのだが、自分の草…

「なぜ意味論は「プロセス」を含むか -表示意味論/領域理論をめぐって」(岡本賢吾)

科学哲学40-2(2007) pp.23-39. 計算機科学で使われる表示意味論と、特に領域意味論に注目し、領域意味論の有限データ性とブラウワーの連続性概念が似ていることを指摘した後、領域意味論もある意味で生成的/プロセス的といえる観点から数学的構造を再構成し…

「F. W. ローヴェアによる随伴関手を用いた集合論の基礎の理解とその展望」(深山洋平)

北海道大学哲学会研究発表会(2005年)、ファイルはこちらから入手可能。 圏論は数学的に強力な道具であり、例えばまったくの別物と思われて来た高階論理とZFC集合論など異なる理論の間の共通の数学的構造をあぶり出し、定式化するのに非常に適しています。…

今読んでいることになっている論文たち

本日、資料整理をしたところ、机の上にプリントアウトの山を発見しました。どれも途中まで読みかけで、そして紛失したと思っていたものばかり。自分でもタイトルを忘れていたので、備忘を兼ねてメモっておきます。 "Cut elimination for Zermelo's set theor…

"Against intuitionism: Constructive mathematics is part of classical mathematics" (W. W. Tait)

Journal of Philosophical Logic vol.12 No.5(1983), ファイルはこちらから。Akm君の紹介で3月末に読み始めたこの論文、最近忙しかったので中断を挟んで、やっと本日、帰りの電車の中で読了。 タイトル通り、「構成的数学(もしくは直観主義数学)は古典数学…

「フレーゲ『算術の基礎』の無矛盾性」(ジョージ・ブーロス)

3月2日読了の論文の内容紹介。書いたのは本日なので、本日付けに移動します。「フレーゲ哲学の最新像」(勁草書房)所収。 内容の紹介 フレーゲの「算術の基礎」の整合的な部分を取り出す フレーゲの「算術の基本法則」では自然数を明示的に定義する際に外延…

「フレーゲ『算術の基礎』の無矛盾性」(ジョージ・ブーロス)

内容紹介は3月8日のエントリーで。

「フレーゲの数の理論」(チャールズ・パーソンズ)

「プラトニズムは認識論的に破綻しているか?」(ボブ・ヘイル)

「フレーゲ哲学の最新像」(勁草書房)所収、行きの機内で読了。おすすめです、っていうかまだ読んでいなかったことがとても恥ずかしい基本論文です。 背景説明:ネオ・フレーゲ主義 自然数を構成をする際に、フレーゲは集合(概念の外延)を使用しました。 …

心臓に悪い話

夜、ポーランドからメールで論文について意見を聞かれる。中身を見てみると、自分が考えていたネタとかぶっているように見え焦った。非常に焦った。が、よく見てみると、直接の関係はそんなには明らかではなく、少し安心。

"Must we believe in set theory?" (George Boolos)

"Logic, Logic, and Logic" p.120-132. 私の今年の個人的な目標は「Boolosを読み直す」ということで、その一環として。 哲学の論文とは思えない平易な英文で、読んでいて飽きません。専門用語も(集合論関係以外)あまり出てきませんし。しかし結論は過激で…

"An introduction to the Polymorphic Lambda Calculus" (John C. Reynolds)

citeseerから入手可能。今まで、職場関係の論文はBlogで取り上げなかったのですが、備忘を兼ねてこちらにのせることにしました。といっても、私は計算機科学に関してはド素人なので、あまり有益な情報提供はできないと思います。 この論文、本文が7ページで…

「クラスの概念と部分ー全体関係」(戸田山和久)

名古屋大学教養部紀要 A (人文科学・社会科学)第37号(平成5年1月)p.1-27. デヴィッド・ルイスの、集合論をメレオロジーの特殊な形として分析しようという "Parts and classes" の主張を分析する。K氏経由でもらったS氏のこの問題を扱った論文がとても面…

"Structuralism and the Concept of Set" (Charles Parsons)

Modality, Morality, and Belief: Essays in Honor of Ruth Barcan Marcus (Cambridge Univ. Press) pp.74-91。全文がgoogleブック検索 (ここ)で入手可能。便利な時代になったものだ。 背景説明:構造主義の弱点としての集合論 数学的対象とは何で、どうい…

"The Sorites paradox and fuzzy logic" (Petr Hajek & Vilem Novak)

International Journal of General Systems, Volume 32, Number 4, July 2003 , pp. 373-383(11)、ファイルはこちらから。1月2日に読了。砂山のパラドックスをファジイ論理を使って表現する場合、例えばハゲについてのバージョンでは、通常は 「髪の毛0本の…