読了

「 ヨーロッパ史における戦争」(マイケル・ハワード )

中公文庫 2010年(改訂版)。戦争の社会的要素に注目した、コンパクトにまとまった本でした。ナポレオンの強さの理由がやっと分かったような気がする。さて、これは改訂版で、終章で第二次大戦終結から対テロ戦争までを扱っているけれど、叙述の粒度が他の章…

「ルーヂン」(ツルゲーネフ)

久しぶりに再読。ルーヂンのヘタレぶりよりも何よりも、ルーヂンが35才だったことに衝撃を受けました。35才で無職だったら愛よりも失業の心配の方を先にしても不思議ではないよなと思います。ええ。

「コースト・オブ・ユートピア」(トム・ストッパード)

名作です。(内容は後で追加します)トム・ストッパード (1) コースト・オブ・ユートピア――ユートピアの岸へ(ハヤカワ演劇文庫 26)作者: トム・ストッパード,広田敦郎出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/01/30メディア: 文庫 クリック: 62回この商品を含…

"Extensionality and Restriction in Naive Set Theory" (Zach Weber)

最近、論文はつまみ食いばかりで一本丸々読みきる時間がなく、ご無沙汰しておりました。徐々にまた紹介記事を書いていきたいと思います。 Studia Logica誌の online first 論文、こちらから入手可能。数学的に興味深いというよりは、矛盾許容論理上で包括原…

「ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争」(上)(デイヴィッド・ハルバースタム)

朝鮮戦争でなぜアメリカは中国の参戦を予想できなかったのかを、マッカーサーを中心に描いたノンフィクション。ちまたでは「マッカーサー神話に終止符を打つ本」として流行っているようですが、たしかにマッカーサーのイメージが変わります。現代日本史に興…

「フロム・ヘル (下)」(アラン・ムーア、エディ・キャンベル)

確かに名作だけど、 ヒトラーなど20世紀の大量殺戮と大量殺人への仄めかしがあまりにあからさま。 ストーリーとして、メーソン→ガル説は、あまりに強引では(コミックだからいいんでしょうが)。ガル医師があまりにパワフルです。 あと、どうでもいい話です…

「フロム・ヘル(上)」(アラン・ムーア、エディ・キャンベル)

アート系アメコミ(?)の名作。面白かったんですが、それはそうと、セリフ長過ぎ。

「ヨーロッパに架ける橋」(上)(ティモシー・ガートン・アッシュ)

旧西ドイツと東ドイツの間の「独独関係」について、 「独独関係」の知的特徴は、逆説的な言い回しが頻出することにある…。二つで一つの「共同体としての責任」。現状打破のための現状の肯定。体制の締め付け緩和を目的とした体制の強化。ドイツ統一を達成す…

「ドストエフスキーの一日」(L・グロスマン)

ヴィースバーデンのカジノで所持金をありたけ使い果たしたドストエフスキー、過去の体験をフラッシュバックさせながら、「罪と罰」のあらすじを思いつくさまを描く。 今まで俺が書いてきたのはくだらぬものばかりだ。金のため、名声のために、手っ取り早く書…

"The Idea of a Proof-Theoretic Semantics and the Meaning of the Logical Operations" (Heinrich Wansing)

Studia Logica (2000) 64(1): 3-20。こちらから入手可能。証明論的意味論に関するよくまとまったサーベイ。 (内容は後で追加します)

"pluralism in logic" (Hartly Field)

The Review of Symbolic Logic (2009), 2:342-359。こちらから入手可能。重要な論文なんだと思います。もう一回読み直さないと。 著者は、非古典論理に関する論理的複数主義*1を検討し、DummettやBeal-Restallらの複数主義を拒否します。そして論理に関する…

"truth values and proof theory" (Greg Restall)

Studia Logicaに掲載予定、著者のweb siteから取得可能。 推論主義の立場から「真理値とは何か」を説明しています。要約すると以下の通りです。 "Mutiple conclusion"論文に倣って、ある文の「否定を主張 (negate)」することと、それを「却下する (reject)」…

「論理は真理を保存するか」(秋葉研介)

「科学哲学」27(1994)pp.69-82. 某氏の日記経由、web上で取得可能(いい時代になったものです)。 本論文では、推論主義の見地から論理的推論にアプローチする。すなわち、「良き論理とは演繹的保存拡大の条件を満たす論理であり、良き推論とはそのような論…

"Multiple conclusion" (Greg Restall)

Logic, Methodology and Philosophy of Science: Proceedings of the Twelfth International Congress, pp.189-205. 原稿は著者のページから取得可能。この論文、読み終わったのは帰国する飛行機の中だったんですが、感想を書くヒマがなかったもので。 「証…

「1Q84 (2)」(村上春樹)

うまい。もちろん「ねじまき鳥」の方が名作だけど、とにかくうまい。

「1Q84 (上)」(村上春樹)

本日読み始め、機内で読了。「ふかえり」は、長門有希ではなく綾波レイなのか。

「近衛文麿―教養主義的ポピュリストの悲劇」(筒井清忠)

「評伝 吉田茂」(4) (猪木正道)

最終巻なのにサンフランシスコ講和条約を結んだところで終わっている。理由は、やはり、その後の吉田は権力に恋々として晩節を汚したと著者が思っているからなのだろうか。

「評伝 吉田茂」(3) (猪木正道)

(後で内容を追加します)

「評伝 吉田茂」(2)(猪木正道)

(後で追加します)

「動物からの倫理学入門」(伊勢田哲治)

「動物をダシにした倫理学入門」というタイトルの方が相応しそうな、倫理学全般に関する教科書。文章は読みやすく、面白かったです。倫理学に関する主要な学説やアプローチをまず紹介→その立場から動物の権利などを認めるべきか論じる、と言うやりかた。現代…

「評伝 吉田茂(1)」(猪木正道)

松本重治を放っておいて、こちらを先に読む。 吉田茂は養父(ジャーディン・マジソン商会の支店長)が11才の時に他界し、昭和45年頃の通貨価値で20億円の莫大な遺産を相続。しかし40代のロンドン駐在書記官時代には、預金残高以上の小切手を振り出すことを繰…

「上海時代」(上)(松本重治)

松方正義の甥、エール大学などに留学後東大法学部の助手を経て「大物国際ジャーナリスト」になった著者の、聯合通信社上海支局長時代の回想録。満州事変と日中戦争の間の上海で、政財界の大物達とひたすらメシを食べる。中国国民党指導部の良識派の勇気に心…

"Conceptual structuralism and the continuum" (Solomon Feferman)

最近、ごく一部で "PhilPapers"が流行っているようですが、そこで見つけたスライド、ファイルはこちら。まずFeferman奉じるところの概念構造主義を説明し、その視点から「連続体仮説 (CH) は確定的な数学の問題ではなく、本質的に曖昧な問題だ」と結論してい…

"Weak theories and essential incompleteness" (Vitezslav Svejdar)

The Logica Yearbook 2007, pp.213-224. 著者のwebsiteはこちら。ゲーデルの不完全性定理は魔力を持つようで、先日の一件のように、誰もが(深く考えもせずに)何か気の利いたことを言いたがります。ご多分に漏れず、当Blogでも、不完全性定理について、エラ…

"There are non-circular paradoxes (but Yablo's isn't one of them!)" (Roy T. Cook)

The Monist, vol.89, no.1, pp.118-149 (2006). 古典論理で矛盾を導くパラドックスの典型例と言えば、嘘つきのパラドックスでしょう。このパラドックスでは「文L = 『Lはウソである』」というように、循環性によって矛盾を導きます。この印象があまりに強い…

"Combinators and classes" (Dana Scott)

Lecture Notes in Computer Science Vol. 37(1975) pp.1-26. こちらから入手可能。 λ計算は、Y-combinatorなどのせいで、古典論理上で単純に形式化しようとすると矛盾を導くことが知られている。また、λ項は包括原理と性質が似ている。この論文では、包括原…

「七つの夜」(ホルヘ・ルイス・ボルヘス)

晩年の連続講演。第一夜の「神曲について」に驚く。神曲を、ほとんどイタリア語を知らないのに電車で通勤中にイタリア語-英語の対語訳本で読んだそうで。「ある人物のことを私たちに知らしめるために、現代小説は5-600ページを必要とします。...ところがダン…

"What's wrong with Tonk(?)" (Roy T. Cook)

JPL (2005)34:217-226。 論理結合子Tonkを許す関係論理 Tonk-logic" の論理的帰結関係は決して ad hoc ではない、 結合子Tonkを許すべきかという問うことは、"Tonk-logic" を論理として認めるべきかどうかと問うことである、 と主張。(後で追加します)

「図書館 - 愛書家の楽園」(アルベルト・マングェル)

著者はかつてアルゼンチンで盲目となったボルヘスに本を朗読するというバイトをしていたと言う人物、本と細部(小ネタ)への愛(とwebへの対抗意識)にあふれた本です。原題は "The Library at Night"、なんで原題をそのまま使わなかったのか疑問だ。 どこで…