「ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争」(上)(デイヴィッド・ハルバースタム)

朝鮮戦争でなぜアメリカは中国の参戦を予想できなかったのかを、マッカーサーを中心に描いたノンフィクション。ちまたでは「マッカーサー神話に終止符を打つ本」として流行っているようですが、たしかにマッカーサーのイメージが変わります。現代日本史に興味がある人も必読でしょう(ウィロビーってアホだったんですね)。非常に面白いです。

ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 上

ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 上

ハルバースタムといえば、ベトナム戦争がなぜ泥沼化をしたのかを描いた「ベスト・アンド・ブライテスト」が有名ですが、そこで泥沼化の遠因として大きく取り扱われていたのが、「中国の失陥」です。つまり、アメリカが支援していた国民党政府が簡単に共産党に敗北したため、共和党右派が民主党政府と国務省の専門家達の裏切りが原因で「中国を失った」のだと非難攻撃し、これが国務省内部のアジア専門家のパージとアジアにおける強硬路線への固執を生んだのだと論じていました。本作は、そのあたりの事情の補足といえ、朝鮮戦争における中国ファクターの大きさ(マッカーサーは、国民党の中国反攻を米軍が直接支援するきっかけのために、中国との全面戦争を望んでいたとも言われる)が鮮やかに描かれています。
ベスト&ブライテスト〈上〉栄光と興奮に憑かれて (朝日文庫)

ベスト&ブライテスト〈上〉栄光と興奮に憑かれて (朝日文庫)

(後で内容を追加します)