「上海時代」(上)(松本重治)

松方正義の甥、エール大学などに留学後東大法学部の助手を経て「大物国際ジャーナリスト」になった著者の、聯合通信社上海支局長時代の回想録。満州事変と日中戦争の間の上海で、政財界の大物達とひたすらメシを食べる。中国国民党指導部の良識派の勇気に心…

"The formal method in Literary Scholarship" (M.M. Bakhtin, P.N. Medvedev)

勤務先の研究所は情報科学関連であり、形式技法関連の参考図書をたくさん買っています。この本、新着書コーナーで形式技法による検証関連の場所に並んでいたのですが、よく見てみると…「文学研究における形式技法」。それに著者がバフチーンじゃないか。共著…

「雪が降るまえに」(アルセーニー・タルコフスキー)

昨日買った本。映画監督のタルコフスキーの父の詩集、こんなマニアックな本が訳されるとは。 僕は人間だ、僕は世界に真ん中にいる。 僕の後ろには無数の滴虫類、 僕の前には無数の星たち。 僕はその間で大の字になった ー 二つの岸を結ぶ海、 二つの宇宙をつ…

「七つの夜」(ホルヘ・ルイス・ボルヘス)

晩年の連続講演。第一夜の「神曲について」に驚く。神曲を、ほとんどイタリア語を知らないのに電車で通勤中にイタリア語-英語の対語訳本で読んだそうで。「ある人物のことを私たちに知らしめるために、現代小説は5-600ページを必要とします。...ところがダン…

「図書館 - 愛書家の楽園」(アルベルト・マングェル)

著者はかつてアルゼンチンで盲目となったボルヘスに本を朗読するというバイトをしていたと言う人物、本と細部(小ネタ)への愛(とwebへの対抗意識)にあふれた本です。原題は "The Library at Night"、なんで原題をそのまま使わなかったのか疑問だ。 どこで…

「空襲と文学」(W.G.ゼーバルト)

(内容は後で追加します)

「ヨーロッパ戦後史(下)」(トニー・ジャット)

下巻は石油ショックから21世紀まで。東欧の反体制派に関する記述の詳しさ(と、手放しで誉めていない冷静さ)に感銘を受ける。(後で追加します)

「神聖喜劇(2)」(大西巨人)

一月の昼から始まり、逢い引きの回想を挟んで、紀元節の日の外出まで。226事件とかゆで卵とか人権の歴史とかヨッフェ自殺とかに関し、和漢/西洋の文を引きながらの長広舌。必要不可欠な効果を持つのは分かるが、しかしもうちょっと話をさっさと進めてくれな…

「ナ・バ・テア」(森博嗣)

映画の印象が強かったせいか、主人公に関する叙述トリックにやられた。

「学歴・階級・軍隊」(高田里恵子)

"Frege's Logic" (Danielle Macbeth)

どうでもいい話なんですが。この本、先週Amazonから届いたのですが、本日、なぜかもう一冊届きました。間違えて二冊注文してしまったらしい。

「フロスト気質(上)(下)」(R.D.ウィングフィールド)

エピソードのそれぞれはドラマで見たので知っていたが、ドラマ数本分を二冊に詰め込むとさすがに強烈。 あまり関係がないが、フロスト警部が深夜、警察署内で「他人の『未決』のトレイを覗き込んでデントン警察署内の最新の動向を探っている」(p.298)という…

「決定的瞬間」(バーバラ・タックマン)

第一次大戦で、アメリカの参戦において大きな役割を果たしたツィンメルマン電報事件の詳細。しかし、ツィンメルマンはなんで電報がドイツ政府が出したものだと認めてしまったんだろうか。謎だ。

「楽園の日々」(アーサー・C・クラーク)

ハードSFの神様ことアーサー・C・クラークの回想録、というか、自慢話。ビミョーな本。素直に「アスタウンディング」誌の思い出のみを書いていればそれだけで面白いのに。

「ロジカル・ディレンマ」(ジョン・W・ドーソン)の翻訳について

以前、ドーソンの「ロジカル・ディレンマ」の日本語版について当Blogで紹介いたしましたが、渕野先生から本日、その件でメールをいただきました。先生は組み合わせ論的集合論における業績だけでなく、「巨大基数の集合論」(kanamori)の訳者としても知られ…

「ハンガリー革命1956」(ヴィクター・セベスチェン)

これは、旧ソ連で公開された新資料によって詳しく描かれた、1956年のハンガリー革命(動乱)についての本ですが、いろいろ驚く箇所がありました。 ハンガリー革命において、例えばナジ首相が処刑されたというのは有名な話ですが、実際にはナジ首相ってどんな…

本日

Amazon.com から届いた本は、"WITHDRAWN ****ELAND PUBLIC LIBRARY" (*はにじんで読めない)と書いてあった。CLEVELAND PUBLIC LIBRARYの除籍本だろうか。本の運命って不思議なものだ。ちなみに、本自体は、とてもきれいな状態で、読まれた形跡はまったくな…

「ヨーロッパ戦後史(上)」(トニー・ジャット)

AztecCabal経由。上巻では1945年から1971年までの東西ヨーロッパの戦後史を、政治から文化や音楽まで、広く深く紹介。とにかく面白く、最高です。冷戦終了後に書かれたおかげで東ヨーロッパの内容も詳しく、またつい最近まで単なる成功物語として書かれてい…

「コペルニクス博士」(ジョン・パンヴィル)

(内容は後で追加します)

「虎よ、虎よ!」(アルフレッド・ベクスター)

今日の昼に購入した本。SF版「巌窟王」、途中まではジェットコースターのように進んでいき、目が離せないのだが・・・スピリチュアル(笑)なオチに激しく脱力。

"Mathematical Thought and Its Objects" (Charles Parsons)

Logic Matters経由。まさしく "Charles Parsons' long awaited book"であり、"Obviously going to be a must-read" でもある本 "Mathematical Thought and Its Objects"が発売されました。Mathematical Thought and its Objects作者: Charles Parsons出版社/…

碓井町立碓井図書館

本日、Amazonのマーケットプレイスで福岡の古書店から買った古本が届いたのだが、除籍本とかで、「碓井町立碓井図書館」の名前の入ったバーコード付きだった。慌てて調べたのですが、もう合併でなくなった町らしいですね。図書館の旧蔵書なので、一応ビニー…

"Philosophical Logic" (John Burgess)

Forthcoming from Princeton University Press, Foundations of Twenty-First Century Philosophy Series. 入手可能な近刊予定本シリーズ第二段。皆さんご存知かと思いますが、LogBlog経由。ファイルはこちらからダウンロード可能です。 驚く点として、この…

"Logic for Philosophy" (Ted Sider)

Logic Matters経由、Ted SiderのOxford University Pressから近刊予定の教科書 "Logic for Philosophy" のドラフトがここから入手可能なようです。全284ページ。様相論理関係や同一性の問題とかが詳しそうなので、哲学科の人のための論理への入門には良いか…

「数学でつまずくのはなぜか」(小島寛之)

講談社現代新書、2008年1月。本日車内で読了。いい本だと思います。「数学に対する愛」を強烈に感じる本で、教育関係者よりも数学科の大学生とかに薦めたいです。 小学校〜高校の数学に関してよく生徒が引っかかる点(負の数のかけ算、幾何の証明、微分など…

「日本のいちばん長い日」(半藤一利)

映画は知っていたけれど、まだ読んでいなかったいなかったので、今週始めに買ってみた。少し読んでみたけれど、この本、私には無理です。 昔、日本の大学に来ていたイギリス人から、「先日の昼間にテレビをつけてみたら、登場人物がみんな泣いていた。昨日に…

ラッセルのパラドックスと基礎付けの公理

∈-無限降下列が存在しないことを主張するZFの公理は、 Axiom of regurality(正則性公理)ともAxiom of Fondation(基礎付けの公理)とも整礎性公理とも呼ばれ、ややこしい存在です。さて、ラッセルのパラドックスを巡る俗説の一つに「基礎付けの公理は、ラ…

「愚か者死すべし」(原尞)

クリスマス前に買った本、私立探偵沢崎シリーズの新シリーズ第一作(2004年)。今回も面白かったです。変わらないものがあるっていいですね。錦織警部(警視補に昇進)らも健在。面白いんですけれど、全体的にますますマーロウものに似てきたような気がする。…

可述的集合論?

(調整中)

「無限論の教室」(野矢茂樹)

帰宅前、駅近くの本屋で購入、電車内で読了。多分いい本だと思うのですが、私は好きになれません。立場的にはウィトゲンシュタイン(とダメット)をほのめかしながら、可能無限→際限なき拡張可能性という路線で、集合論および「実無限」という考え方をシメて…