「ω-矛盾な真理理論について」

11月21日(土)に、科学哲学会大会で以下の発表をします。

嘘つきのパラドックスにより、古典論理上の公理的真理理論は部分的な真理述語 T のみを持つ。しかし、真理述語に関する制限は、真理述語の全域性だけではない。すなわち、十分な表現力を持つ真理理論は ω-矛盾となる(すなわち理論のモデルは超準的自然数を必ず含む)ことが知られている [M85][L01]。
この現象は、ファジイ論理において、もっと端的に現れる。すなわち、ファジイ論理上のペアノ算術で全域的真理述語の存在を仮定しても無矛盾であるが、その理論は ω-矛盾となる [R93]。本発表では、[HPS00][Y09] の議論を拡張してこの問題を分析し、(メタ理論をZF、対象理論をPALTrとした場合)十分な表現力を持つ真理理論においては、(メタ理論から見て、見かけ上、)余帰納法による論理式の(真理述語を利用した)算術的定義が可能になり、無限的な操作を表現することが出来ることを示す。

参考文献

  • [HPS00] Petr H´ajek, Jeff B. Paris, John C. Shepherdson. “ The Liar Paradox and Fuzzy Logic” Journal of Symbolic Logic, 65(1) (2000) 339-346.
  • [L01] Hannes Leitgeb. “Theories of truth which have no standard models” Studia Logica, 68 (2001) 69-87.
  • [M85] Vann McGee. “How truthlike can a predicate be? A negative result” Journal of Philosophical Logic, 17 (1985): 399-410.
  • [R93] Greg Restall. “Arithmetic and Truth in Lukasiewicz’s Infinitely Valued Logic” Logique et Analyse 36 (1993) 25-38.
  • [Y09] Shunsuke Yatabe. “The revenge of the modest liar” Non-Classical Mathematics