Logica 2009 (二日目・午後)

午後も面白い話が多かったです。

Always more (Greg Restall)

いや、面白い発表だったんです。可能世界意味論では「命題=可能世界の集合」と、外延的な関係が成り立つと言われています。もっと正確に言うと、

  1. 任意の可能世界では任意の命題の真理値が決定される
  2. 任意の可能世界の集合は。ある命題を定める(対応づける)

この話ではその関係に疑問を呈するべく、様相論理の体系に、統辞論的なオペレーター♯(連言の左端の命題を取り出す)を導入し、それが上の1/2を成立させなくするという話です。♯がある程度自然に見えるだけに、その♯が「命題=可能世界の集合」の関係を崩す以上、1/2も維持できないだろうことをほのめかしました。統辞論的なオペレーターは、昔から扱いが難しい点が知られており、その新しい応用というわけです。
それはいいんです。この発表、何がすごいって、最初の10分間が過ぎるまで、論理式も数式も記号(♯以外)も一個も出てこなかったんです。名人芸でした。