Non Classical Mathematics 2009 (初日)

午前8時45分スタート。

Opening

4月ごろになくなられた、Robert K Meyer さん(3月末に、この会議へ、招待講演の要旨を送ってきて、その後だったとか)に、みんなで黙祷。

Theories, Co-theories and Bi-theories in Non-Classical mathematics (Greg Restall)

講演一発目はこちら。非古典論理においては、「Aの否定を主張する( \neg Aを主張する; negate)」ことと、「Aであることを拒否(reject)する」ことは別であることが多いです(真理値の用語で言えば、truth value gap を許したり、 truth value glut を許したりもします)。と言うわけで、これまでの論理体系のように、公理系 T から \neg Aを導出する(negateする)だけでは十分でなく、「体系はAをrejectする」とかも言えるようにしたい、そうでないと非古典論理上で十分な数学の理論が展開できない、と講演者は主張します。
というわけで、そのために "Co-theory" なる体系を導入し、こちらで導出される定理は体系から拒否されるものとするわけです。そして、theoryとco-theoryをひっくるめて "Bi-theory" と呼びます。この枠組みは、関係論理の意味論でよく使われているそうですが、それをもっと一般化して非古典数学一般で使用しましょう、と提案していました。そして、話の最後で、この枠組みを自然数論と包括原理を持つ集合論に応用していました(この部分が駆け足だったので残念です)。
Restall氏は、Web上の活動も積極的で、氏のBlog は、論理学の関係者なら誰もが知っていますし、今回のNCMと次のLogica会議をついったーで中継したりもしていました*1

A new approach to predicative set theory (Arnon Avron)

古典論理の枠組みの中で、通常の数学を展開するのに十分な、さらにZFの部分体系となっているような、可述的な集合論を造ろう、と言う話。論文はこちら。transitive closure  TC_{xy}\varphiを導入するのがミソ。
ただし、「可述的定義」と言っても、外延性公理を体系が持っている(「全てのz」のような量化を許す)ように、厳密な意味での可述性ではなく、「高階の対象は定義によってのみ導入される」という限定的な意味での可述性である…って、そりゃ、古典論理でやってるんだし、そうだよね。
氏は、NCMで講演している割には、自称「古典論理の人」であり、Sambin氏らと盛んに激論を交わしていました。

*1:英語で聞き取れない重要なコメントとかが、ついったーに転載されたため、マジで助かりました。