"The revenge of the modest liar (non-commutativity version)"

というわけで、6月にチェコで開催予定の国際会議 Non-Clasical mathematics 2009 での発表の許可が、本日、正式におりました。

In this talk, we discuss a few ways out from the non-commutativity of truth predicate and logical connectives [HPS00] in Lukasiewicz infinite-values predicate logic ∀L.

∀L上では、かなり強い算術(PAの公理+T-scheme)を仮定しても、嘘つきのパラドックスが矛盾を導かないことが知られています。これも嘘つきパラドックスの解決法の一つですが、この解決にもやはり問題点があります。真理述語が論理結合子に関して分配則を満たさない(すなわち Tr([P→Q]) とTr([P])→Tr([Q])が同値にならない)という問題点があります。これはどの程度深刻な欠陥なのか。本発表では、

  • まずPALTrではなく、 ∀Lで包括原理がある集合論を考えたとき、分配則を満たすような全域的真理述語を構成することは可能だが、やはり問題が起こる(真理述語が外延にnon-standardな元を要素として含んでしまう)
  • しかし、non-standardnessも分配則を満たさないことも、実は問題点ではなく、いいことではないか。つまり、∀L上の理論では、無限なプロセスに対応するような循環的な文を構成でき、その挙動が通常の文と違っている(それがnon-standardだったり非分配的だったりする)だけなのではないか。そして、そういう無限的なプロセスを表現できるというのは、実は体系としての強みなのではないか

ことを論じます。