"Mathematics without foundations" (Hilary Putnam) (4)

19時より21時半まで。参加者4人。p.15第3段落-p.18第1段落。
連続体仮説(CH)は、ZFCから独立なので、真理値を持たない」という論敵に対して、パトナムは「二重星が無限に存在する」という物理学の言明や、「10^{100}+1が素数である」という言明は実際に確かめることができないが、一方で我々はそれらに真理値がないとは思わない、と論じる。「10^{100}+1が素数である」の場合は、その真偽を確かめるのには計算をする必要があるが、その計算量は膨大なので、宇宙が終焉を迎えるまでに検証しきれないというのが理由である(厳格有限主義でおなじみの論法)。かくしてパトナムは「CHは真偽を決定できないので真理値を持たないとか主張するやつは、『10^{100}+1が素数である』という文だって真理値をたないというべきではないか」と論じる。
果たしてパトナムの議論は説得力があるのか。K氏は ad hominem としても問題があると主張した。宇宙の寿命が無限な可能世界を考えることは、CHが真となる可能世界を考えるよりも容易いからだ(つまり、「10^{100}+1が素数である」が真理値を持つと考えることは、Chが真理値を持つと考えることよりも、容易い)。ついでに、証明手段のベクトルが逆(CHは証明技法を拡張して独立であることがわかるが、10^{100}+1 は証明法を制限して真偽がわからなくなった)という問題もある。
彼の議論は説得力があるが、厳格有限主義に好意的な私としては、多少複雑な気分だ。