戦争請負会社(P.W.シンガー)

1997年、まだスカパーに入っていたのでBBCニュースをよく見ていた。アフリカのシエラレオネで無能な政府軍が壊滅し、残虐な反乱軍が首都に侵攻直前、大虐殺の危機だというニュースを見た直後、なぜか反乱軍が退却し危機が回避されたというニュースを聞いて、狐につままれた思いだった。が、この本を読んでやっとわかった。政府が南アフリカ軍のOBからなる民営軍事請負企業(PMF)を雇い、有能なPMFが反乱軍を蹴散らし、大勢の人命が救われたのだった。
この本は民営軍事請負企業(PMF)についての、国際政治学の立場からの分析。イラク戦争で悪名を恣にしているPMFだが、すでに国際政治の上のプレイヤーであり、単純に規制すればいいというものでもないのだろう。既に赤十字国連難民高等弁務官事務所などが、スタッフ警護のためにPMFを雇い、国連筋の一部にはPKOPMFに外注すべきだと言う声まであるそうだ。彼らがいれば、ルワンダの大虐殺も防げた可能性があるし、自衛隊より役に立ちそうだ。現実を見つめた上で、この本のようにその問題点を冷静に指摘する必要があるだろう。