「ゲーデルの定理と金融」(小林慶一郎)
h師の日記経由。朝日新聞 の昨日の朝刊28面より。
「リスクに対処するための金融商品自身が新たなリスクになる」という論文のロジックは、数学や論理学の世界で有名な「ゲーデルの不完全性定理」と関係しているのではないか、と私は考えてきた。
「私の発言はウソである」と私が言ったとすると、この発言は、真実だろうか、うそだろうか。真実だとすれば、私の発言はうそでなければいけないから、この発言も真実ではないはずだ。逆に、この発言がうそだとすると、私の発言はうそだ、という命題は正しいことになり、この発言は真実だということになる。
結局、この発言は真とも偽とも判定できず、論理の完全性は破綻してしまうのだ。
論理学者ゲーデルは、このような自己言及的命題(自分自身について述べる命題)が、論理の体系の完全性を破壊してしまうため、いかなる数学体系も完全なものにできない、と証明した。これがゲーデルの不完全性定理だ。
ゲーデルの定理は、「数学が発展すれば、完全な数学体系に到達できる」という数学者の素朴な通念を覆した。
以下の問に答えよ。
- 本文中の間違いのうち、特に重要だと思われる3カ所を指摘せよ。 (5点×3)
- 論理の完全性の正しい定義を述べ、ゲーデルの完全性定理の内容を説明せよ。 (10点)
- 不完全性定理について以下の問に答えよ。
- 小林氏は、なぜ全く関係がない様に思われる「ゲーデルの定理」をサブプライム問題を論じる際に持ち出してきたのか、その理由を推定せよ。ただし、「知ったかぶり」「かっこつけ」「柄谷行人」「ゲーデル問題」等のフレーズは使わないこと。 (20点)
- 寛容の原理に従って小林氏の論を最大限好意的に解釈し、上の文を意味が通るように修正せよ。 (25点)
絶望した!エラければ間違いだらけでも許される、言いたい放題社会に絶望した!・・・いえ、いつもはこういう記事はスルーしているのですが、今回はあまりにひどかったので。大人気ないですが。