Many-valued points and equality (Costas Drossos & Daniele Mundici)

Synthese 125: 97-101, 2000. とても短い論文。
ファジイ論理上で一般化した形で「点」(points)を定義した場合、同一性関係(equality) に関して推移性が成立しなくなる

[α=β] & [β=γ]<[α=γ]

が、&をfuzzy 上のもう一種類のand *(x*y=x+y-1)については、推移性が成立する([α=β] * [β=γ] = [α=γ])ことを示している。ちなみに、[0,1]区間でなく、代数的な意味論上でやっているので少し面食らうかも知れません。
若手フォーラムの時、形而上学の Sz氏と同一性関係に推移性が必要か、という議論をしたことを思い出して。とりあえず推移性が成り立たない枠組みは、数学的には自然な形で定義できます。「推移性が成立しない同一性関係」とは、もはや同一性ではなく、Hajek流に "similarity" (相似関係)とでも呼ぶべきかも知れませんが。ともかく、推移性が同一性の必要条件かどうかは、もう少し議論の余地がある問題だと思います。
ちなみに、著者本人は、この現象はファジイ論理の標準的意味論の欠陥が原因であると示唆していました。