「恐怖の兜」(ヴィクトル・ペレーヴィン)

先月末に届いた本、原著2006年。ミノタウルスによって迷宮に閉じこめられたらしい8人の男女のチャットで進行する現代小説の粋、言語に興味がある方全てにお薦めです。
小説はボルヘスの迷宮についての引用から始まる。テセウス候補者のテレビ演説会であるどこかで見たことあるようなフランス人候補者が「迷宮」という概念のかわりに某有名概念を用いるべきだと主張するが(p206)、この話はちょっとネタバレか。筒井康隆調のクライマックスは驚愕、特にテセウスの循環性(p260)がすごい。