「文学とは何か?」(テリー・イーグルトン)

4/24にAmazonから届いた本。何を今更という感もある文学理論への定評ある入門書、ご存じの方が多いと思いますが、一応備忘がてら。えーと、大学時代に実は一回読んでいたような気がしないでもないのですが。
現象学構造主義もポスト・モダニズムも歴史的社会的現実から目を背け体制に奉仕するものとして排し、ウィトゲンシュタインを経由して文学理論は「特定の時代の特定のイデオロギーの所産」である点を強調、それらの手法を政治的目的のために応用し現代版修辞学としての「文化研究」を進めていくべきだと訴える。明快で博覧強記。
本筋からは外れるが、言語に関する用語の使い方が論理学とかと異なっているようで面食らう。例えば、異なったコンテクストで語 "Cat" は異なる対象を指示する状況を「Cat は自己同一的でない」(p200)と表現しているけれど、「自己同一性」に違和感を感じる。