数学会での発表「 Hにおける超準的自然数の区別可能性について」

pdfファイルを大学のサイトにおいてあります。興味のある方はどうぞご覧ください。

Lukasiewicz無限値述語論理 LQ の上で包括原理(the comprehension principle)を持つ集合論 Hでは、「自然数の集合ωは必ずnon-standardな自然数を含む」と解釈できる文章が証明可能であり、このことは H において標準的自然数と超準的自然数の間に、完全ではないがある程度、definableな区別が可能であることを意味する。この発表では、区別可能性からの帰結を二つ紹介する。

まず区別可能性が完璧ではないことの帰結を紹介する。 Hでは"overspill"と似た現象が起こり、H上の自然数の無限集合はかならず超準的自然数を含み、標準的自然数のみを取り出すことはできない。この結果を応用することで、以下の定理が証明できる。

「ωの始切片に無限降下列が存在する」と解釈できる文章が H で証明可能である。

一方、 H において超準的自然数と標準的自然数がある程度区別が可能であることは、以下を帰結する。

H においては数学的帰納法を仮定すると矛盾を導く。

このことはHajekのL∀上についての結果のanalogyにあたる。 H においては、帰納定理によってある程度帰納的定義が可能であるが、同時に数学的帰納法が矛盾を導くことが結論される。