応用哲学会・冬の研究大会・特別ワークショップ 「哲学における非古典論理の役割」


明日 2月20日(土)の4:10 - 5:30に、京都大学文学部第一講義室で開催されます。お暇な方は是非お越しください。

近年、非古典論理は哲学的論理学において盛んに研究されるようになった。しかし、これまでの真理や言語の意味に関する哲学的議論は古典論理を土台に行われてきたが、その土台となる論理そのものを変更することは、いったい何を意味するのだろうか。
本ワークショップでは、第一部で紹介した非古典論理の研究を哲学的問題に応用する最先端の事例を二つ紹介し、非古典論理の採用が哲学の分野に与える衝撃について検討する。

行為論理の現況報告: 村上祐子東北大学

仮に哲学的論理学を「なんらかの哲学的問いへの論理学(あるいは少なくとも論理学の表記)を使った哲学的回答を与える試み」と定義づけてみよう。すると非古典論理学そのものが「『古典論理を哲学の問題に適用することはできない』という主張を認めたうえで、哲学的問題に適用可能な論理体系はどういったものか?」という問題への回答を与えようとする営みとなる。その文脈の中で、行為論理は「何が行為なのか」という問いに答えるものであり、個別の回答に対応可能な論理体系の探究を行うものとみなせる。以上の仮定のもとに、最近の論文を読む。

「透明な真理観」を巡って: 矢田部俊介(産業技術総合研究所

嘘つきのパラドックスにより、古典論理上の公理的真理理論は部分的な真理述語のみを持つ。しかし、嘘つき文「この文はウソである」は、多くの非古典論理上では矛盾を導かない。非古典的方法の利点は、真理述語に関して、「自己言及的な文は真理述語の対象に含まれない」といった余計な仮定をしなくて良いことである。この場合、真理述語の条件はただ一つ、T-図式を仮定すればよいということになり、簡明この上ない。この立場は「透明な真理観」(transparent view of truth)と呼ばれる。本発表では、最近の透明な真理観を巡る議論(特にω-矛盾性を巡る議論)を紹介する。

なお、発表は英語で行われます。