"Mansfield park" に見る一人称と三人称の使い分け

以下の文章は、最近 Jane Austen づいているCによるものです。

貧しい少女が、父親と自身に思いを寄せている裕福な男性との初対面を前にして考え込むシーン。彼女は彼をまだ好きではないが、父親のせいで彼が去ってしまうかもしれない。

and I believe,*1 there is scarcely a young lady in the united kingdoms, who would not rather put up with the misfortune of being sought by a clever, agreeable man, than have him driven away by the vulgarity of her nearest relations.(p.374 2行目)

今まで三人称で書かれていたのに、めずらしく一人称で始まる文だと思って目を留めた。ジェーン・オースティンは、裕福な男性に恋をしたが、家庭の事情で結婚できなかった。また、その後婚約しても、翌日考え直して断り、終生独身だった。自身の経験がよほどショックだったのか、後悔しているのか、読者に同じような経験をしてほしくないと思っているのか。小説に挿入されたこの文は印象深い。

*1:イタリックはCによる