Two Day Workshop for Category Theory and Logic(二日目)


本日は集合論型理論圏論の相互の翻訳可能性について。

  1. 集合論をメタ理論として、集合論の内部に直観主義的高階論理(IHOL)の翻訳を作成することは簡単。はい、いつもの型理論集合論的モデル( \lambda x^A Px \{x\in \| A\| : \| P(x) \|\}みたいに翻訳する)です。この翻訳によって定められる集合論内部の理論は、集合論において集合が持つ「型理論的情報」を全てこの枠組みにおいて捉えることが可能。
  2. 型理論をメタ理論として、圏論の翻訳を型理論内部に作るには、トポスの出番。圏がトポスであれば、IHOL内部に翻訳可能である。さらこの翻訳は非常に望まししい性質を持つ。つまりトポスに翻訳されたIHOLは、IHOLのモデルとして健全かつ完全になる。
  3. 圏論をメタ理論として集合論をその内部に翻訳する。これが最近はやりの代数的集合論(algebraic set theory)である。直観主義上の集合論BIST(urerementsを許し、基本的な公理はZFと同じだが、分出公理を持たず、代わりに \Delta_0-separation公理を持つ)は、トポイにうまく翻訳が可能である。すなわち、BISTである論理式\varphiが証明可能であることと、任意のトポイεに対しその上のイデアルを使って定義されるモデル上で\varphiが真になることが同値になる。

これらの意味で、以上の三つの基礎的な体系は相互に翻訳可能であり、従ってどの種類の体系がもっとも「基礎たり得る」とはいえない。

  • これらの基礎的体系の「数学的内容」とは、この相互翻訳によっても失われないような定理のことだとしよう。この定義の意味で、三者は「同一の数学的内容を持つ」。
  • 圏論は、他の処理論に比べ、数学的内容を「直接的に」表現する。
  • 集合論型理論は、トポスで扱えないような余計な(付加的な)内容も扱えるという特色を持つ。

ところで、「三つが相互に翻訳可能」というと、なんか、一つのメタ理論の中で、三者の相互翻訳可能性が定理として言える、というものなのだろうと想像していたのですが、そういうわけではなく、「どの理論を基点にとっても、他の二つをその中に埋め込める」と言う意味で、Awodey氏は「その意味でこれは数学的な定理だ」と言われていました。