"Semantic Innocence and Uncompromising Situations" (Jon Barwise and John Perry) (3)

本日は某大学会議室で開催。参加者は4人、p392第4段落-p394第2段落、21時半まで。
今まで、situation semanticsには三つの階層(lingustic meaning, interpretation, evaluation)が存在するという話であった。今回はevaluationの役割について。

  • 例えば、指示の不透明性を状況意味論でどう表現するか。これを解決するのがevaluationである。
  • "Sally saws that a dog is running." のような文の場合、文脈によって以下の二通りの解釈があり得る。
    • 通常の「ある犬が存在し、サリーはその犬が走っているのを見た」場合。この場合は、通常の確定記述と同じように解釈され、この文は  \{s:  (\exists x) s(Sally, saw, x, ruuning,)=1\}のような形の命題(situation typeの集合)として表現される(この論文にはsituation semanticsの正確な定義がないので、正しい書式や存在量化の翻訳をどうするのかは不明だが)。この場合は、evaluationにおいて、value-freeな(xに特定の対象を割り当てない)解釈を取ることが選択される。この場合、共外延的な対象の置換は問題なく可能である。
    • 一方、文脈によっては、「その犬」が例えば私の飼っている "Morie" であると分かることがある。その場合、その文はvalue-laden (value-loded)な解釈が行なわれ、この文は  \{s: s(Sally, saw, Morie, ruuning,)=1\}のようなsituation typeの集合(命題)に解釈される。この場合、SallyがMorieと a dog with fleas を別のものだと考えていた場合、 a dog with fleas はMorieとは別の対象に翻訳され、両者は共外延的対象では無くなる可能性もある。
  • value-freeな解釈か、value-loadedな解釈か、どちらを選ぶかを選択するのも、evaluationの段階で行われる作業である。
    • 状況意味論は、古典外延的集合論がそのメタ理論となっており、本来共外延的な対象の置換は真理値を保存するはずだ。
    • そして、evaluationにおける解釈方法の選択によって、文のレベルでは見かけ上共外延的な対象の置換が真理値を保存しないようにも見える例を作り出す。

また、 意味論の innocenceについて。

  • 素朴に「文は何らかの対象を指示している」と言う考え方を表現する意味論をを inocent な意味論と呼んでいる。
  • 特に、間接話法などの中にある文も、何らかのもの(intension / proposition / sentenceなど)を指示していると考える、フレーゲ以前の考え方のこと。

終了後、参加者全員がIG氏に車で駅まで送ってもらう。私は梅田までおくっていただきました。ありがとうございます。