翻訳可能関係が推移的にならない例?

言語L1, L2, L3 があり、L1-> L2 と L2-> L3 の間が翻訳可能であっても、L1 -> L3 の間の翻訳が不可能な例を考えよう、という話。以下の例は、今年の前半、読書会のときに思いついた(本当に思いつきなんですが)。IG氏の原稿を読んでいる際にふと思い出したので。
簡単のため、以下の言語の列 < Ln : n∈ω> を考える。

  • Ln -> Ln+1 の翻訳には、全てのLnの文の先頭に sn を付ける(例えば L0の文 σ を L3 に翻訳すると 「s3 s2 s1 σ」 となる)。
  • Ln+1は、Lnから翻訳されてきた文以外の文も含む。

さてこのとき、L0の文 α をL1,000 に翻訳することを考えよう。当然、千もの接頭辞を付けた文が人間にとって理解可能である訳がない。つまり、どこかに自然数 m が存在し、

  • L0 -> Lm の翻訳、Lm -> L1,000 の翻訳は理解可能だが
  • L0 -> L1,000 の翻訳は人間には不可能である

ということになる(1,000 でだめなら、もっと適当な整数を選んでください)。ちなみのこの議論は、厳格有限主義でよく出てくる議論のインスパイアです。
さて、上の話について、「翻訳可能」という話から「人間に理解可能な翻訳」に話がシフトして元の問題とだいぶ違う話になっているじゃないか、といったようなシリアスなツッコミはナシでお願いします(分かってますから)。それよりは、「翻訳可能」という概念がいかにあいまいかという点についてご注目いただければ、と思います。