「すべて王の臣」(ロバート・ペン・ウォーレン)

まだ328ページ目で、読了はしていないけれど。
この小説を初めて知ったのは高校生のときで、この本の有名な一文をストルガツキー兄弟が「ストーカー」のエピグラフに引用していて、それを加藤典洋が引用したのをA新聞夕刊で読んで、という経緯だったと思う。邦訳が見つからず、大学生になって英文に挑戦してあえなく挫折。話の筋そのものは院生になってからBSで映画「オール・ザ・キングスメン」(1949年版)を見て知った。最近、再映画化されるらしく、白水社から邦訳が再刊されたのを知って飛びついた。善きことをしようと悪をなす、名作です。似た話は大学を初めそこら中に転がっている。
内容の話はさておいて、引用句の話を。ストルガツキーの引用は、第6章の

悪から善を作り出さねばならぬ、なぜならそのほかには善を作る方法がないからだ (p.324下段)

実はこの文は、p320でのスタントン医師との会話の際のスターク知事の発言の、主人公による要約だった。英文だと

You have to make the good out of the bad because that is all you have got to make it out of. (p260)

ずーと原文がどうなっているのか気になっていたので、少し胸のつかえが取れた気分。いや、それだけなんですけど。