A┣A は必ず成立するのか?

先々週の研究集会で話題に出た話だが、今思い出したので。 どんな論理体系でもA┣A(AがAを証明可能)もしくはA→Aが真理値1ということが成り立つのか、という話題。
大抵の証明体系では始式としてこれを仮定していて、これが成り立つのは当たり前のように思えます。以前紹介したStrassburgerの論文でも、「論理とは論理式をdomainとするプレ順序集合のことである(つまりA≦Aが成立する)」という形で当然視しています。
歴史的には、Lukasiewiczが1920年代に、アリストテレスの分析を通してA→Aの真理値が1であるべきであるといって、Lukasiewicz 3値論理の真理関数 (A→Bの真理値はmin{1,1-|A|+|B|})を導入することを正当化したという経緯があります。fuzzy論理などでもA→Aはいつでも真理値 1 です。
それではA┣Aが成立しない or A→A の真理値が1ではない論理体系ってあるのでしょうか?とりあえず有名どころではKleene 3値論理があります。Aの真理値が indeterminate (1/2) のとき、A→Aの真理値も indeterminate (1/2) になる。多値論理では他にもGodel logic (真理値が[0,1]でA→Bの真理値は結論Bの真理値)なんかもあります。どちらもAの真理値が不確定な場合A→Aの真理値も同時に不確定になるわけです。で、これらってLukasiewiczやStrassburgerの視点からは論理ではないことになるけれど、そこら辺に関する議論ってどなたかご存じないでしょうか。

補足(2008年2月19日)

ブックマークで id:z0rac さんから「論理 A→Aが1でない?論理はともかく有用性が思いつかない。」ってコメントをいただいていました(だいぶ時間が経ってしまい、申し訳ありません)。クリーネ三値論理の「有用性」についてはこことかでも論じておりますので、あわせてご覧ください。