「随伴函手による理論生物学に関する一考察」(春名 太一氏)

Alt.Math.談話会@南草津、16:00-18:00。大学には時間通りに到着したものの、どの建物かを忘れ右往左往。途中でGnj先生とお会いするものの、先生も迷子中だった。事務の人に会場を探してもらって、30分遅刻で到着。
生物を機能へと分解して器官ではなく機能を単位としたシステムとして捉えるというR. Rosenの枠組みを採用し、機能分解の逆(機能を貼り合わせて対象を構成する)の重要性を強調するR. Patonの結果のanalogyを証明した。数学的には有向グラフの圏において機能分解・貼り合わせは随伴の関係となり、また随伴に不変な構造(cycleの存在とanticipation)があることを示した。
感想としては、面白かったけれど、不満もある。この枠組みでは機能分解がgivenであるらしいが、生物の機能分解がそんな一意に簡単にできるのかはとても疑問だ。人工物においてすら難問中の難問だと聞かされてきたのに(「ヤカンで人を殴ることができる」とき「攻撃能力はヤカンの機能」なのか?ほかにmalfunctionの問題、歴史的視点の欠如、etc)、ましてや生物についてどうするのか。もちろんこの批判は、Rosenらの問題意識から見れば本筋から外れたものであるとは思うけれど。人工物と生物の区別について質問したところ、Rosenの(M,R)-systemが生物の機能についての特徴付けにあたるそうなので、それを今度読んでみないと。
終了後、T先生・M君・H君と4人でJR京都駅ビルの居酒屋へ。Gnj/Tの数学論の基礎としてのクリプケシュタインとか。「グロタンディエクウィトゲンシュタインの足元にも及ばない」という某氏の言(名言?)を聞く。帰宅は22時半。