"What is Cantor's continuum problem?" 参考文献

「連続体濃度はアレフ2」

ハウスドルフの連続性公理を採用して、連続体濃度がアレフ2になることを示そうというゲーデルの試みについて、邦語では以下があります。

ゲーデルの議論を現代的視点から再構成しようとしたBrendle-Larson-Todorcevicの論文はこちら。

数学的に豊かな構造を導く前提を導入し、それが連続体濃度がアレフ2になることを導く、というゲーデルの議論と同じ構造を持つ現代の代表的な議論として、WoodinのΩ-論理/Ω-予想がある*1。h師から紹介されたWoodin自身の論説はこちら。

こちらは以前から持っていたWoodinによるFields Instituteでの講演スライド。

Patrick Dehornoyによる解説。

他に、proper forcingがらみで同様なことが囁かれることも時々あるようです。

巨大基数とCH

面白い性質を持つ巨大基数の導入によってCHが否定されるようなモデルを構成出来るのでは、というゲーデルの未公刊論文(1964年)がある、そうです。この話はFolkloreとしてしか知らなかったので、そのうちチェックしないと。h師からGodel collected works vol.2のMooreによる解説を薦められました。
ゲーデルのこの説は、可測基数が L には存在できないというScottの結果(1961)からインスパイアされて、

  • 可測基数は組み合わせ論的にとても良い性質を持ち、その存在は豊かな数学的構造を含意するという意味において正当化されうる
  • LではGCHが成立し可測基数は存在しない/だから、実はGCHと可測基数は両立し得ないのでは・・・
  • 従って、可測基数の存在が正当化出来るのでGCHが成立しないことも正当化出来る

という連想がゲーデルの中で働いたのでは、と私は今まで妄想していたのだけど、実際の所はどうなんでしょうか。
現代ではもちろん巨大基数とGCHは関係がないことがわかっている(特に可測基数に関して、Silverが可測基数+GCHの簡単なモデル L[U] を構成した)のだが、参考文献としてはkanamoriがお薦め(ご存じでしょうから詳細略)。Kanamoriは歴史的解説も力が入っています。

*1:Woodinの場合は「数学的に豊かな構造を(強制法で壊れないように)保存する」だけど。